おおかみこどもの雨と雪 感想(ネタバレ込み)

おおかみおとこはなんで大学の小難しい哲学(?)の授業を聞きに来てたのかとか、事前の描写からすればいくら農村の自給自足にしたって金足りんだろとか、背景の実写じみたリアルさから時折キャラが浮いてるとか、エンディングはあんなしわがれた声じゃなくてもっと若々しい声にしてくれだとか、ツッコミ所は数あれど、まずは
この尺でここまでやりきったか!
という印象。
見る前は
“引っ越し後にトラブル解決しつつ生活を安定させて『この調子で子育て頑張るぜ!』というオチをどう描くのだろうか?”
しか頭に無かったので驚いた。
内容としても韮崎のじいさんやクラスメイト達といった周りの人の善意がベタつかず、トラブルが陰湿に発展せず、非常に見やすい作りの中で、雨と雪の成長をその転機と共に分かりやすく丁寧に描いていた。
『おおかみこどもは狼と人間のどちらを選ぶのか?』
という問題提起にも意外性を混じえながら完璧に答えを出していて、感動、というよりはハルに同化して共に充足感、達成感、安らぎを味わいながら幕を閉じられる映画だった。
あと、映画とは直接関係ないけど、韮崎のじいさんを演じられていた菅原文太さんの正にキャラクターが喋っているような演技を聞いてると、本職の声優を起用しないことへの批判は起用された本人の技量不足へ向けられるべきなんだとあらためて思わされたりもした。